引きこもりプレッパーのんびり生態記録

ひきこもりの毎日の日記。わたしはわたしのまま生きることにした

小説を書いてみた。

捲土重来【好きな日本語を小説にしてみた3/3】

捲土重来 城は今にも焼け落ちようとしていた。 その城門から、赤馬に跨った赤武者たちや家来たちに守られながら、身の丈に合わない立派な白馬に乗せられたひとりの小さな少年が逃げ出てきた。 少年は泣きじゃくりながら何度も、何度も、後ろを振り返る。 手…

飄々【好きな日本語を小説にしてみた2/3】

飄々 新学年が始まった朝、転校生の挨拶があった。 「転校生の浅井です。お願いします」 こんな田舎に似合わない茶色の長髪に、耳にはピアスの穴が痛々しいほどいくつもあいている。 その長身の青年「浅井」は、ぶっきらぼうに短い挨拶を済ませると一番後ろ…

散財【好きな日本語を小説にしてみた1/3】

散財 小さいころから、私は知っていた。 金細工の髪飾り、宮仕えの職人に作らせた着物、西洋建築のこの屋敷も、全てが私のものなのだと。 大人たちもそれを知っている。 池から顔を出す、肥え太った醜い鯉たちもそれを知っている。 だから私に求める、「もっ…